福山鞆の浦の「おてび」で小魚料理、そして過疎の現実を感じながらのほろ酔いとなりました。
【2012年6月22日(金)】
福山 鞆の浦 「おてび」
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この日は福山の鞆の浦を訪ねることにしました、
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ちょうどこの日の朝刊で『景観保全のため鞆の浦のバイパス工事の中止決定』というような記事を読みました、そうか、ヨカッタね、ねえ、バイパスなんて自然破壊だよ、なんて軽く読み流したのですが、あとでこの問題がそんな簡単な問題ではないことを想い知ります、
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少し前に井上理津子さんの著書『旅情酒場をゆく』に鞆の浦の「おてび」という店が紹介されていました、そんなこともあり広島出張後に寄ってみることにしました、
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陽が長い時期ですが、あまり時間はありません、鞆の浦はここから15Kmはありそうです、あまりバスの接続が悪いと行けないかもしれません、福山駅で降りて目の前の大きなロータリーになっているバス停に向かいます、ちょうど数分後初の鞆港行があります、ラッキーです、では行くことにしましょう、
市街地を抜けて大きな川を渡ります、芦田川です、この川沿いにどんどん南へ下ります、距離はありますが道は空いているので案外早くつきそうです、最近テレビ東京の「路線バス乗り継ぎの旅」みたいな番組に嵌って全話見てしまいましたがまさにそんな風情のバスの旅です、少し文庫本を読んでうつらうつらです
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このバスの終点は鞆港、だいぶ海が近くなってきたので車中でだいたいの位置関係を調べて終点まで行くことにしました、40分ほどで到着です、
バス停の前がすぐ海で、鞆の街も広がっています、ほとんど事前情報もなくお目当てもないのでぶらりと探訪してみましょう、
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まずは件の『バイパス工事推進の立て看板』がありました、なるほど、でもねえ、この湾の一部を埋め立てる意味はあるのでしょうか?なんて、ほんわかと考えます、
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角に酒屋があります、どうやらご近所の方が飲んでおられるようですが、ワタシが入り込むのは難しい雰囲気ですね、看板に“保命酒”という文字がいくつも見えます、はてさてなんなんでしょうか?
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少し行くと古い街並み、家屋や大きな蔵などが建ち並んでいます、
ほう、こういう感じなんですね、
イイ感じの路地を抜けると何軒か店が並んでいる石畳の通りに出ました、
お、“保命酒”の店がありますね、なにやら薬用のお酒のようなもののようです、店先に大小の瓶が並んでいます、ふーん、と、しばし店の様子を見ていると奥からお母さんが出て来られました、で“保命酒”の由来と効能を教えていただきました、どうやら養命酒の元祖のようなお酒だそうです(この“保命酒”をヒントに養命酒が作られた、とおっしゃってました)、どうですかと奨められて一杯飲んでみます、うわ、甘いですね、これはちょっと、、、と思った矢先に「お酒好きの方はこれを焼酎に入れて飲んだりもされます」となるほどの一言、立石のもつ焼き屋「宇ち多”」の梅割りの要領だなこれは
、と閃きます、買いましょう、と一番小さな500円の瓶を買いました、一度焼酎に入れてみるぞ
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港には常夜灯があり、
保命酒の酒蔵はいくつもありました、
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宮崎駿の”ポニョ”のモデルになったというのも聞いたことはありますが、すっかり忘れていました、
“坂本竜馬ゆかりの宿”というのもありましたね、
ツバメがあちこちに巣を作っています、狭い路地や道路を行き来しつつ、唯一のお目当ての「おてび」に辿り着きます、
通しの営業と思いきや今は15時から17時までは休んでおられます、ちょうど17時頃なので準備中の札が下がっていますが戸を引いてみます。
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すいませ~ん、まだですか~?、
と声を掛けると奥からお母さんが出て来られました、イイですよ、とのこと、小さなカウンターとテーブル席が少し、カウンターに着いてビールをお願いします、
カウンターの前には大皿料理が並んでいます、お奨めは鞆で獲れた小魚だそうです、小魚の干物、煮物などだけで7~8つ並んでいます、少し説明を聞いたのですがどれが良いのか分からないので盛合せをお願いします、
少し歩いたのでビールが美味しいです、
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大皿から茄子の煮付けもいただきます、
そして「小魚の盛り合わせ」、
いろんな味付けがありましたが、一番美味しかったのは平たい干物でした(“でびら”だったかな?)、
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少ししてお母さんが声を掛けてくれたので話をします、
古い街並みが素敵なことを伝えると、どうだかねえ、という感じ、戦災がなかったのは良かったけど、いろんな話が中途半端でまとまらず、結局何もしないでここまで来たって感じ、だからこんな街並みも残ったんだけど、、、人口はどんどん減るし道は狭いし、前のこの道、これが県道ですよ、車もすれ違えないような道、下水も来てないしね・・・なるほど、
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今朝の新聞でバイパス工事の中止が決まってましたが、あれはやはり地元としては作った方がイイのですか?そりゃねえ、云々、、、、我々が正義感だけで環境保護を訴えることの軽率さを思い知らされるリアルな話です、
土日とかは観光客も多いのでしょ、そうね、でもパッと来てパッと帰るからそんなに多いということないわね、TVとかで紹介されると、ポニョとか龍馬とかね、その時だけは増えるけどまた元へ戻るし、お金はそんなに落ちないし・・・また、うなずくしかありません、
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お酒をぬる燗でお願いします、
飲み屋も少ないですね、昔はねえ仕事帰りに寄らなきゃいけないくらいの勢いでみんな飲んで帰ったけど、いまはもう車だから飲めないでしょ、だからお客さんは少ない、お昼は近所の人向けの定食ね、
バスは本数が意外にありますね(20分に1本ほど)、そう、昔から「TOMOTETSU」1社だからね、料金は高いけど本数は多い、昔は汽車が走っていたそうで峠越えでは馬力が足らず乗客皆で押して越えた、なんていう時代もあったそうです、今は全部バスになっているそうです、
なるほど、、、お母さんは気さくにあれこれと話をしてくれました、そうなんですね、地元には地元の現実があります、こちら側の話も聞けて良かったです、
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さて、長居もできません、そろそろ引き上げましょう、
鞆の浦の「おてび」、小魚料理で一杯ですね、でもこの鞆の町のこと、おそらく日本中で起こっている過疎の現実の一つ、どうすればいいのか?ワタシでも役立つことがあるかなあ、なんて考えながら、、、帰りのバスでまたこくりと船を漕いでいました、
鞆の浦の「おてび」、また来ますね、
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そうそう、鞆の浦で買ったのが「保命酒」(あちこちに看板や酒蔵があり、専門のお店も何店かありました)、で、これをエキスに宇ち多”の「梅割り」もどき、そして東京の下町ハイボールを家で作ってみました、
「梅割り」もどきは保命酒の香りがきついです、がまあまあイケます、
そして、、、
「下町ハイボール」は、こういう味だったかな??と言い聞かせればそういう感じ、それなりに行けましたよ
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さらにおまけ、
この日のランチは広島八丁堀の「ひまわり」のつけ麺(ここ、広島では珍しくTigersの店でした)、
このたれが強烈でした、
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コメント
いつも楽しく拝見しています。こちらの影響で今ではすっかり酒場オンリーになってしまいました。
鞆は父の実家で小さいころはよく遊びに行っていました。
稲田屋の牛飯も懐かしいな~
これまで気づかなかったですが、日本の酒場文化は素晴らしいですよね。これからもディープな酒場を沢山紹介して下さいね。
投稿: ゆび | 2012年7月17日 (火) 12時15分
ゆびさん…コメントありがとうございます♪
鞆、本当に小さな良い町でした、
でも、開発と保存の問題はワタシなんかが軽々しく書くのは、、、難しいですね、
稲田屋はイイですね、ここもご存知とは!
是非これからも酒場探訪をやりましょうね^^)よろしくお願いいたします、
投稿: テリー | 2012年7月21日 (土) 20時10分
ちょくちょく鞆の浦に行くので、この記事を何回も読んでます。だいぶ前のブログですが飽きませんね。
このブログは楽しいな……
投稿: めいり | 2017年4月25日 (火) 08時33分
めいりさん・・・コメント、おおきにです、
お蔭でワタシも久しぶりにこの記事を読み返しました、
酒場探訪は、こういうお店の人との会話も楽しみの一つ、
カウンターの向こうのお母さんが思い浮かびましたわ^^)
これからもご愛読お願いいたします♡
投稿: テリー | 2017年4月26日 (水) 21時33分